新年、明けましておめでとうございます。今年もどうぞ、よろしくお願いいたします。年始にあたり、介護支援専門員の現状と課題、将来への展望について考察してみました。

Ⅰ.介護支援専門員の現状と課題

日本は急速に高齢化が進んでおり、15年後の2040年には85歳以上の高齢者が1000万人を超えるといわれています。要介護者・認知症高齢者の数も増え、必然的に在宅療養を希望する高齢者が増えることから、介護支援専門員に対する期待と需要は今後も持続的に高まることとなり、その役割がこれからますます重要となります。ところが、現状ではすでに深刻な人材不足が到来しており、「介護支援専門員ゼロ地帯」が生じている自治体も少なくありません。政策的な財源制約や介護保険制度の持続性問題が深刻化し、業務量が増える一方で処遇や支援体制が追いつかず、離職率が高止まり、人材の確保・定着が難しい状況が続いているのは極めて大きな問題です。

Ⅱ.将来への展望

  1. 人材確保・離職防止

①「実務研修受講試験を受けるのに必要な実務経験の年数」を、現行の5年から3年に短縮する議論は人材確保に直結するものであり、これが緩和されれば参入のハードルが下がってくるものと期待できる。
②介護支援専門員の資格取得要件の対象資格を拡大し、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救急救命士、公認心理師を新たに加え、介護支援専門員を志す人を増やすこと、多様な背景を持つ人材の参入を促すことで、厳しい人手不足の緩和につながることが期待されている。
③基礎研修、更新研修などの更新制が廃止されるが、これは介護支援専門員の負担軽減や人材確保が目的で、日本介護支援専門員協会が早くから主張し、これまで水面下で実現を働きかけてきた経緯がある。5年ごとの資格の更新は離職を決断させるタイミングにもなっていた。一方で、定期的な研修は必要かつ重要であり、一定期間内に柔軟に受講できるようシステム化し、就業時間内の時間の確保や業務調整など、所属する事業所などに配慮してもらえる仕組みを構築する必要がある。
④全国統一的な研修教材の作成や時間数の縮減、オンライン化、任意のタイミングでの分割受講などにより、費用面を含む負担の軽減を目指す。介護支援専門員の負担軽減は極めて重要な課題であり、速やかに実施する必要があると厚労大臣が明言している。

2、負担軽減

①ケアマネジャーが専門性を活かし、個々の利用者に対するケアマネジメント業務に注力するための負担軽減等の環境整備のひとつとして事務員を積極的に配置する。
②テクノロジー(IT、AI、ロボットなど)を活用した支援が進み、ケアプラン作成・モニタリング支援ツールの導入が増えることで、介護支援専門員の業務効率化・負担軽減が図られ、より戦略的・予防的な役割を果たす機会が増える。

3、専門性の確保と確立

①ケアプランの質がさらに重視され、介護支援専門員には高度なアセスメント能力・マネジメント能力が求められる。
②介護支援専門員の専門性が上がることで、利用者・家族からの信頼が増し、ケアの質と効率の両立が進む。
③ケアプランの標準化や評価制度が整備され、介護支援専門員の専門性が十分に発揮されると、質の高いマネジメントを提供できる可能性がある。
④質の高いケアプランをつくる介護支援専門員が増えることで、高齢者のQOL(生活の質)が向上し、高齢者が望む住み慣れた地域での生活を支える制度が強まる。
⑤地域ケアネットワークや地域包括ケア会議の中心メンバーとして介護支援専門員の存在感が強まり、「地域コーディネーター」的な役割を果たすことができる。

4、待遇改善

①処遇・給与 「経済財政運営と改革の基本方針 2025」(骨太方針 2025)に記載された「公定価格の引上げ」「幅広い職種の方々の賃上げ」「他職種と遜色のない処遇改善」等の実現に向けて、令和7年度補正予算や令和8年度の期中改定の財源確保が期待できる。
②これまで介護支援専門員は原則として処遇改善加算の対象外とされてきたが、厚生労働省は2025年11月21日に、処遇改善加算の対象範囲拡大を社会保障審議会介護給付費分科会に提案し、これにより居宅の介護支援専門員も加算対象となる可能性がある。

介護支援専門員は今後も重要な役割を担っていく職種であり、制度・政策とともに人材確保・質向上の方向性が強まっています。今後、介護支援業務の専門性を高めつつ、現場で働く介護支援専門員が増えることで、過重労働を回避する必要があります。テクノロジーを導入して、介護支援専門員の負担を軽減することで働きやすい環境を設定すると同時に、報酬・処遇、制度、業務負担などのリスク管理が今後の鍵であり、これをどうクリアするかが介護支援専門員の未来を左右するとも考えられます。地域包括ケアの理想を実現するため、医療、介護、福祉などの各専門職種との連携を進め、さらに地域のコーディネート機能を担っていくべく頑張って参りましょう。

令和8年1月1日
一般社団法人宮崎県介護支援専門員協会
会長 牛谷 義秀

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