令和7年6月14日宮崎県介護支援専門員協会の総会は皆さま方のご支援ご理解のもと無事に終了し、新しい年度が始まりました。今年度もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。

日頃から、「介護の司令塔」として行政や病院などさまざまな関係者と連携を取りながら、利用者に寄り添ったケアマネジメントを実践されている皆さまに於かれましてはたいへんお疲れのことと存じます。

さて、この一年の間には令和の米騒動など、物価高騰に伴う日常生活に直結した問題や、地震・豪雨といった自然災害など、生活そのものの継続が困難となるできごとがいっぱい起こりました。これらの自然災害に際しても、生活の基盤が安定するまで、ご自宅や避難所などに派遣されるケアマネが、災害関連死などを防ぐ上で大きな役割を担ってきており、これらの問題に光が当たる中、ケアマネの存在感が制度外にも大きく広がっている状況が明らかになってきています。ひとたび起こると、自分のことはさておき、利用者の生活支援にあたってくださっているケアマネの仲間がいっぱいいらっしゃいます。しかしながら、平時はもとより、このような非常時にさらなる力量が求められながら、「人材確保や処遇改善などの課題」に対する国の対応が遅々として進んでいないと理解しています。

 この一年で本協会が取り組んだ課題とその成果を皆さんとともに振り返ってみたいと思います。まずは、人手不足が深刻化している現状を踏まえ、資格を持ちながらactiveでない潜在ケアマネジャーの皆さんの復職を期待して、果たしてどれくらいの方がいらして、その方々のきっかけ作りができないかの調査を県に懇願しておりましたが、今年度実態調査が始まります。また、法定研修受講に際して経済的負担の軽減を図るために県議会議員・県福祉部とともに各市町村に働きかけ、県内各地で実現してきています。さらに時間的負担・移動負担の軽減のためオンライン研修を実施しています。また、主任ケアマネの受講資格が一律に実務5年以降になっていますが、市町村の推薦が得られればある研修を経て3年で資格獲得に結び付ける解釈ができるよう、県や宮崎市で検討していただいております。さらに「ケアマネの業務負担拡大にもかかわらず、「賃金格差」に代表されるその冷遇が他産業や介護分野の他の職種より見劣りする処遇となってしまっていることが人材不足の深刻化、居宅介護支援事業所の減少に直結している」ことから、日本介護支援専門員協会とともに、自民党の日本ケアマネジメント推進議員連盟を介して5月29日、処遇改善を強く訴える要望書を厚生労働省に提出しており、次の介護報酬改定を待たず物価高騰・経費増加に見合う介護報酬を考えるよう訴えました。今こそ、潮目が変わる時ではないかと期待しております。不合理を正し、業務に見合った適切な報酬を得て、就労条件を改善できるよう、国に訴える活動のために奔走しています。結果、厚生労働省は近年の物価高、全産業平均の給与水準の動向を注視しつつ、ようやく「処遇改善を推進していく」と説明してくれました。みんなで組織を挙げて国を動かしましょう。

 昨今のケアマネ数の減少は、介護保険制度のみならず、幅広い社会機能をマヒさせてしまう大きな懸念事項となっています。ケアマネ人材のすそ野の拡大は、国民の暮らしのセーフティネットを支えることに等しいとなれば、少なくとも早急な処遇改善や実務負担の軽減が不可欠と考えます。

 私たちはこれからも利用者の「自立支援・重度化防止と当事者の尊厳保持」のために、介護保険の本来の目的に向かって、ぶれることなく、みんなで力を合わせて頑張ってまいりましょう。引き続き、会員の皆さま方のご協力をお願い致します。


2025年6月14日
一般社団法人宮崎県介護支援専門員協会
会長 牛谷義秀

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