医療と介護、福祉を必要とする高齢者は今後も増加し、支え手としての生産年齢人口が急激に減少する中で多くの困難な課題に対して、主人公である地域の住民お一人おひとりに、医療・介護などの専門職のほか、さまざまな人たちが力を合わせてよりそい、対応していこうという地域包括ケアシステム構築の中心に私たち介護支援専門員がいます。

物価高騰やコロナがもたらしたともいえる特殊な離職増加も医療介護環境を一変させました。その中で待遇の問題や人材確保は現実問題として極めて重要です。国は持続的な賃上げを謳っていますが、介護の現場での収入は一般企業と違って、国が定める介護報酬という公定価格に管理されているため、営業努力による経営の改善には限界があり、ほかの全産業平均との賃金の格差はなかなか埋まりません。国民に必要かつ適切な介護サービスを提供できるよう、次期介護報酬に対する財源確保の重要性を強く感じますし、日本介護支援専門員協会を通じて国に強く要望しています。

一方、人材不足の結果、利用者に尊厳ある、安心・安全で質の高いサービスを提供できなくなり、必要なところに適切な支援ができないために、更なる生活の質の低下、しいては命に係わる重度化を招きかねない状況となります。それを防ぐためには、的確かつ丁寧で手厚いケアマネジメント実践を担う介護支援専門員の存在を各方面に再認識してもらう必要があります。介護支援専門員の人材確保難については業務負担の軽減や処遇の改善など複合的な要因が重層的に絡んでいます。①「介護支援専門員の資格取得の方法」、②「魅力ある仕事としての確立」、③「適切な社会からの評価」など多面から検討する必要があります。

視点を変えると、人材確保には①介護支援専門員資格取得のための入口支援と、②定年退職を含めた離職者防止の2方向から取り組む必要があると考えます。今年、宮崎県介護支援専門員協会が行った介護支援専門員の実働調査(回答期間:令和5年6月1日~6月30日の1か月、調査方法:郵送調査、回答率:92.8%932事業所/県内の配置基準がある1,004事業所【そのうち19事業所は休止中と回答】)では、県内での実動員数は1,830人でした。そのうち専任/兼任:1830人/605人、主任介護支援専門員の資格者数は617人でした。実働者の高齢化は進んでおり、定年とともに離職される方が多い一方で、若い世代での資格所得者が減っています。一昨年(令和4年)6月に実施した日本介護支援専門員協会全国大会in宮崎でメインテーマとした、「(現行の介護支援専門員資格取得方法以外に)専門学校や大学を経て、介護支援専門員の資格が得られるような方策の検討」が、日本介護支援専門員協会の令和5年度年間計画に「介護支援専門員の地位向上および人材確保に関する特別委員会」設置として取り上げられ、その4人の委員のうちの一人として令和5年11月第1回特別委員会に参加しました。船出にあたりたくさんの課題が確認されましたが、今後加速的に進展できるものと期待しております。

今後も多くの機会に県内会員の皆さまの話を伺って、さらに国を動かせるよう組織の強化を図りたいと考えます。今後ともよろしくお願い申し上げます。


2024年1月1日
一般社団法人宮崎県介護支援専門員協会
会長 牛谷義秀

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