介護保険制度は発足した当初から「走りながら考える」制度と形容されてきました。そのなかで、制度発足当初から様々な課題を抱えながらも、その要として機能しているのが介護支援専門員です。令和6年で介護保険制度は25年目を迎えます。四半世紀を過ぎ、助走の時期はとうに過ぎました。このランニングのゴールはどこにあるのでしょうか。ゴールを見失った介護保険制度を、介護支援専門員がゴールへ向かうよう導く時期にきているのかもしれません。

10年ほど前までは、介護支援専門員の存在が軽視されるような発言や対応を見聞きすることが多くあったように記憶しています。しかし、その後、特にここ数年は、高齢者の周囲で困りごとが発生すれば、「担当のケアマネさんは?」「ケアマネさんに相談した?」と、医療介護の専門職はもちろん、行政や地域包括支援センター、メディア等も、高齢者支援の要として介護支援専門員に大きな期待をしています。要介護高齢者の伴走者として、介護支援専門員の社会的地位が確立されたといっても過言ではありません。これも、諸先輩方の地道な活動があったからこそと深く感謝申し上げます。

このように介護支援専門員が注目される専門職となった今、介護支援専門員の発言や行動は、私達が思う以上に多くの人へ大きな影響を与えることになります。社会的地位を獲得するということは、その評価も、当事者である介護支援専門員へ大きく返ってくることになりますので、これまで以上に、介護支援専門員には倫理観を持った行動が求められます。

宮崎県介護支援専門員協会は、令和3年3月に『倫理の手引き』を発刊しました。この『倫理の手引き』を使用した研修会が、ブロックネットワークや市町村支部単位で開催されており、高評価をいただいています。まだ開催していないブロックや市町村支部がございましたら、職能倫理を考えるきっかけとして、ぜひ、企画検討されてください。

今年は、十干(じっかん)では甲(こう)、十二支では辰にあたるため、甲辰(きのえたつ)の年となります。甲とは「甲乙丙丁~」の始まりであり、物事の始まりととらえます。そして辰は発芽した植物がしっかりとした形になる、勢いと大きな力、成功ととらえることができます。この二つが合わさる甲辰は、新しいことを始めて成功する、いままで準備してきたことが形になるといった、縁起のよい年になるといわれています。

令和6年度から、法定研修カリキュラムが変わります。変更に伴い受講される介護支援専門員の皆様の負担が大きくならないよう、事務局として特に次の点に焦点をあて努めてまいります。

まずソフト面です。今回のカリキュラム変更の最大のポイントである『適切なケアマネジメント手法』の導入については、ワーキングチームを立ち上げて、受講者が段階的に理解を深め、実践に活かせるような研修の組み立てを構築していきます。ハード面は、eラーニングの更なる活用です。演習を含まない講義に関しては、可能な限り録画配信とし、視聴期間内、受講者自身の都合に合わせて受講できる環境を引き続き整備していきます。

4月からは、第9期介護保険事業計画がスタートします。今回の介護保険制度改正、介護報酬改定の内容を会員の皆様へお伝えできる機会を設けていきますので、ホームページの閲覧、公式ラインへの登録を宜しくお願い致します。

会員の皆様が、健康で充実した一年をお過ごしになることを祈念して、私の挨拶とさせていただきます。

一般社団法人宮崎県介護支援専門員協会
事務局長 岡崎浩司

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